※馬鹿な空想ネタです

 

 

 

 


昔々、あるところに刃六という名の水仙の妖精がいました。彼は水仙の妖精としては珍しいことに喧嘩好きな荒っぽい気性をしていたので、日夜土精などと取っ組み合い暴れまわっていました。それでも彼はその端麗な容姿から泉の女神のお気に入りでしたので、何をやっても咎められることなどなかったのです。しかしある雨の夜のことでした。いつものように土精たちとの喧嘩を終え寝床に戻ろうかというとき、彼は湿った地面に足を取られ泉へとまっさかさま、落っこちてしまったのです。不幸なことに泉の女神は就寝中でした。泉の中で刃六の体を受け止めたのは、かつて刃六が生まれる前、女神のお気に入りだった水藻の妖精でした。彼女は助けた妖精が自分から女神の寵愛を奪ったあの刃六であることを知ると、美しい顔を歪め怒り狂い、近くにいた魚に命じました。「この妖精の目玉を喰らってしまいなさい!」命からがら逃げ延びた刃六でしたが、その姿は見るも無惨、翌朝陽の光の下で彼の姿を見た泉の女神はたいそう嘆き悲しみました。女神の愛した美しい精霊はもうどこにもいません。「お前など知らぬ。どこへでも行っておしまい」哀れ、人間の姿に変えられた刃六は水仙を名乗ることも許されず、帥仙と名を換え、今日もどこかで人として生きているのでしょう。めでたしめでたし。


水仙の妖精