あなたは『「笑顔が下手だ」ってあの時みたいに笑って貰えたら、あの時みたいに頬をつねって貰えたら、って過去に縋り付く』柳蓮二くんを幸せにしてあげてください。 http://shindanmaker.com/474708





「蓮二ったら、またそんな顔して」
「……俺はどんな顔をしている?」
「今にも泣き出しそうな顔」
嬉しい時は笑わなくちゃ、と彼女は言い聞かせるように語り、俺の頬を抓って無理矢理笑みを形作らせようとする。
俺はされるがままに笑うがその表情は彼女のお気に召さないらしく「へたくそ」と笑われる、ここまでがワンセット。
俺は彼女とこの遣り取りをすることがこの上なく好きだった。
外見、性格、言動から年相応の扱いを受けることの少なかった俺はおそらく子供扱いにひどく飢えていたのだろう。
その飢餓は自分でも呆れるほどに強く、会う度に彼女曰くの「へたくそな笑顔」を披露しては頬を差し出し腹を満たそうとしていた。
もちろん飢えと恋を混同していたことに気付かない俺ではなかったが、気付いた時にはずいぶんと長い時間が経っており、俺たちは大人になっていた。
これは不味いことをしたと慌てて積年の想いを伝えると彼女は崩れ落ち、膝に額を押し付けながら「だって蓮二、私のことそういう目で見てないんだと思ってた」。
初めて泣き顔を見せた彼女はそれでも見惚れるほどに美しく笑ったので、つられて俺も笑顔を形作る。
きっと今までで一番うまく笑えていたはずだったが、彼女なら今日も俺の頬を抓ってくれることだろう。


2015/01/04

柳蓮二をハッピーエンドに誘導する!